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岡山のデッサン・絵画・漫画教室「アトリエとしもり」
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【 テンペラ習作 】

[レオナルド-ダ-ヴィンチ、「受胎告知」のための習作] 模写

シナベニヤに荒描き(イエローオーカー及びバントシェンナー)、 全体的に形を探る段階で、ラフな書き出しです。 白色浮出と暗部書き出し(チタニウムホワイト及びローシェンナー)、細やかな対象に迫るため、一転して細かい書き込みを行いました。


全体に着色、(イエローオーカー)絵画の奥行きと深みを狙って、筆跡を残しました。 シナベニヤの質感を出すために、背景を削り落としました。これは創作です。本物は紙の上に描かれています。
シナベニヤに描き始めた以上は、その素材を引き出したいという私の判断です。


さらに白色浮出(チタニウムホワイト)を行います。明るい部分すべて狙って、行っています。 赤い透層(うす塗り)の後、さらに白色浮出(チタニウムホワイト)を行います。今度は、最も明るい部分(ハイライト)のみを狙って、行っています。全体を赤く染めたのも、私の創作です。乙女の明るさ、華やかさを表現したかったためです。一応の完成。
色々な発見がありました。


【 模写を描き終えて 】
[ 模写という、ストイック(禁欲的)なものに取り組んだのは、本当に久しぶりのことでした。 きっかけとなった理由には、いろいろあります。最近岡山で知りあった画材店-アートヴィレットが、 東京芸大絵画技法材料が開発した油絵の具を扱っていたこと、そこから絵画技法材料で佐藤一郎教授に、 教育を受けた思い出が甦りました。 また、アトリエの生徒の方々がレベルアップしてきたこと、私自身も新たな取り組みや、 作品を実現する機会を促されたと思っています。元来、レオナルド-ダ-ヴィンチが大好きで、 デッサンでは一番参考にしています。また宗教画も大いに惹かれるところがあり、 自らの制作活動にも共通するテーマがあると思っていました。

描き初めから感じたことは、圧倒的な技量の差でした。 当然といえば当然なのですが、ダビンチはやはりすごい。 マリアの髪の毛の表情は、繊細で優美、しかも変化に富んでいて、 「繰り返されることのない」線を一本一本引くのは、骨が折れました。 時々緊張感で、手がプルプル震えたりしました。すごいことは誰もが認めるところでしょうが、 具体的に体感出来るのも模写の良さでしょう。

おそらくダビンチの8倍ほどの時間を掛けて、何とかなったように思います。 今回の模写は、一般的な模写−「すべての材料や染み一つまで写す」ものとは違い、 創作の部分をかなり入れています。なぜなら、まったく同じものが初めから出来ないと私は思っていますし、 その時点での盛り上がりがないと、作品も良くならない。 自分も楽しくないと「やりがい」がないし、まったく同じものを目指すほど私は真面目でもないようです。

ダヴィンチは、マリアの口元をわずかに書き換えているのを発見しました。 [「受胎告知」のための習作]とあるように、ダヴィンチもこの「デッサン」の中で試行錯誤をしています。 以前書いたものより、口角を少しばかり上げて、「微笑」を湛えた表情に書き換えられていたのです。 これは、重要な発見でした。

過酷で崇高な運命、その大変に重いものを受け止めるマリアが、 うら若き乙女が、なぜここで「微笑」を湛えることが出来るのか?引き締まった口元から、 「微笑」を湛えた口元に書き換えたダヴィンチは、どのようなメッセージをここに込めようとしたのか? 歴史的事実の発見もあり、マリアが未婚であったかどうか別として、 ここには「美しい人間存在の誕生」を悦びを持って受け入れる、「美しい人間」そのものの姿が、 「事実」として存在しているように思うのです。


※特定の宗教に偏りのない表現として、「美しい人間」という表現を用いました。キリスト教関係者の方の、ご理解ご了承いただけたら幸いです。

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